最近は、法令遵守(コンプライアンス)が厳しくなり、深夜残業やサービス残業の実態に行政や司法のメスが入りやすくなった。
ハラスメントも様々な形で撲滅が目指され、厳しい追及や「しごき」を許容しない態度が、多くの人に広がった。
本当に、厳しい時代になったと思う。
人は、やっぱり自分一人では怠け、甘えてしまうものだ。
今ではハラスメントと言われるような指導方法のおかげで、甘えず自分に厳しくあることができた、という人も、きっと多いだろう。
今ではサービス残業だと指摘され指導が入るような働き方も、まだまだ生産性を発揮できない若手の頃には、膨大な時間の力で足りない成果を確保する一助になった人だっているだろう。
今の時代は本当に厳しい。
かつてのように、ハラスメントと言われるような厳しい口調で本質を突いて教えてくれる大先輩がいて、自分は成長できたと思うし、
自分が足りない能力を少しでも高めるために深夜までオフィスでああでもないこうでもないと悩み苦しみ試し失敗を重ねることが許された。
今では、みんな優しいことしか教えてくれないし、深夜まで失敗を繰り返そうもんなら「早く帰れ」と言われ思考は切断される始末。
入社して間もない若者は、まだ何の成果も出せないのに決められた時間の中で早く成果を確保しなければならない。
誰も厳しく指導なんかしてくれないのに。
かつて、スタートラインの格差を埋めてくれたハラスメントとサービス残業は、様々な事件の拡大解釈により淘汰され、スタートラインで生じた格差は今後、一層広がっていく運命になったと思う。
そして多数の大人の中、ごくまれに存在する「そんな今の若者心理を完璧に捉えて上手に指導できるスーパーマン」が脚光を浴び、そんな指導が正しいものとして称賛され、ほとんどの大人がそんな高度なマネなどできないという悲しい現実は、置き去りになっている。
そのことに気づき、自ら自分を律するか、厳しい環境を選択して身を置くことのできる人にしか、望む成果は確保できない時代になった。
個人で努力すれば良い、という話ではない。
努力ができないから、二十歳そこそこになってもその位置にいるんだよ。
本当に、厳しい時代になった。