毎度のように世間をにぎわせる日本のマラソン選考。
今夏開催されるロンドン世界陸上の代表選考基準より、レース前半より後半の方が速い「ネガティブスプリット」を高評価する基準※が採用されました。
※実際にそのような基準が発表されたわけでなく、陸連が設定するペースメーカーのペースを、ネガティブスプリットを目指したものに(要するに遅く)するという意味です。
実際に、大阪国際女子マラソンで優勝した重友梨佐選手が、後半の追い上げでレースを制したことから、さらに注目が集まっています。
(実際には、後半の方が2秒遅い”ポジティブスプリット”だったようですが、過去のレース展開と比べれば、じゅうぶん後半の強さを見せつけたレースだったと思います。)
ネガティブスプリットは流行りものではない!
ネガティブスプリットを流行りもののような書き方してるけど、タイム度外視で順位を争う五輪や世界陸上なら当然の戦法だと思うよ。。
https://t.co/txleGrWrLD— zaki@citymarathon (@zaki84920) 2017年1月31日
まるで、ネガティブスプリットが「新しい潮流」「世界基準」のような論じ方をする記事をよく見かけますが、
実際、五輪や世界陸上のように、長距離走で順位だけを争う場面って、前半は牽制しあってペースが上がらず、後半(特にラスト)にペースが上がる・・・という方が、自然なペース配分だと思いますよ。
トラックの日本選手権を見てれば分かるように、長距離走で順位だけを争う場面ではネガティブスプリットになるのは当然のこと。
そこには当然『弱いやつが勝っちゃうリスク』があったから陸連はペースメーカーを付けていたというだけ。今回の方針変更はリスク受容と解釈するのが一番ではなかろうか…— zaki@citymarathon (@zaki84920) 2017年1月31日
5,000mや10,000mの日本選手権などを見ていても分かるように、ゆっくりしたペースでレースが進んでいって、最後のスパート勝負で日本代表を決めてしまうと、結局「序盤の世界のペースに付いていけない」みたいなことが起きるんです。
一時期、日本選手権にも外国人ランナーが一人走っていたこともありましたね(公にペースメーカーとは紹介されませんでしたが、スタート直後から良いペースで引っ張っていました)。
マラソンでも同じことで、ある程度速いペースで前半をやり過ごしてもらい終盤に決着をつけるやり方でないと、本当に強い人を選ぶことができない!というのが、今までの代表選考でした。
しかし、今回ネガティブスプリットの考え方を導入したことは「前半が速いと力を発揮できない人」が代表に選ばれちゃっても良いから、「本番当日のレース展開次第で、誰かが後半に抜け出してくれないかな」的な考えもあることと推測します(推測ですが、容易に想像は出来る)。
それは、北京五輪のように前半が速くなってしまったら、全く対応できないというリスクを受け入れて、
「世界大会は後半勝負になる事が多い」という統計をもとに、「予定通り(運よく?)そういうレースになった時に勝てる可能性がある人」を選べるように考え方を変えたと受け止めるのが自然なことだと思います。
もう、今の日本の力では、前半ハイペースにされたらそもそも勝てませんからね。
運よく、勝てそうな展開になった時に、
少しでも勝てる確率を上げるには、
どうすれば良いか?
それが日本の新戦法!
日本がマラソンで生きる道!
ということで、良いんだと思います。
強すぎるアフリカ勢相手に、まともに挑んでも、無理ですよ。少なくとも、3年後に迫った東京五輪を目指すなら。